太平の世を築いた徳川家康生誕の城
十五世紀中頃、西郷頼嗣が砦を築いたのがはじまり。一五三一年、家康の祖父・松平清康が現在の地に城を移した。この城で生まれた家康は六歳で人質となった後、十九歳でふるさと岡崎へと戻り城主となっている。家康が将軍となって以降は、家格の高い譜代大名たちが城主となっており、家康生誕の城の城主となることを大名たちは誇りとしたと伝わる。
東西約一・五キロメートル、南北約一キロメートルにも及ぶ総構えを持ち、東海道を引き入れた巨大な城郭である。一五九〇年には、豊臣大名の田中吉政が天守を築くなど大規模な改修を行った。曲輪、堀、土塁、石垣など見応えのある遺構が多く残る。中世と近世の城の遺構を見極めながら歩くことをおすすめしたい。