起宿は尾張・美濃の国境に位置し、木曽川の渡船場を有する宿場で水陸交通の拠点としてにぎわった。
江戸時代初期の将軍上洛や朝鮮通信使の通行の際は、川には270隻以上の船をつないだ日本最大の船橋が架けられた。渡船場は江戸時代だけではなく昭和31年(1956)の濃尾大橋開通まで続いた。
明治24年(1891)の濃尾地震で多くの建物が倒壊。町並みは失われたが、脇本陣役を務めた旧林家住宅(大正期の建築)や被害を免れた旧湊屋文左衛門邸主屋が往時をしのばせる。戦後一宮市は毛織物産業の一大産地となり、産業を支えたノコギリ屋根工場の景観が街道周辺にも点在する。
見どころ
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冨田一里塚
美濃路で唯一両側の塚が現存する一里塚。西側には公園が整備されている。
住所 西塚(左塚):〒494-0018 愛知県一宮市冨田字立石777
東塚(右塚):〒494-0018 愛知県一宮市冨田字古川1813 -
聖徳寺跡
織田信長と舅の斎藤道三が会見したと伝わる聖徳寺があった場所。
住所 〒494-0018 愛知県一宮市冨田字大堀413-5
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起宿脇本陣跡(旧林家住宅)・一宮市尾西歴史民俗資料館
起宿脇本陣跡に建つ旧林家住宅は、起宿で脇本陣を務めた林家が大正2年(1913)に建てた。建物内部と庭園を公開。資料館は起宿や美濃路に関する資料を中心に展示する。
住所 〒494-0006 愛知県一宮市起下町211 -
高札場跡、船橋河戸跡
起宿には3か所の渡船場があったが、船橋河戸は下流にあった。近くに高札場があった。令和5年(2023)跡地に高札場を整備した。
住所 〒494-0006 愛知県一宮市起字下町180番地 -
旧湊屋文右衛門邸
街道から定渡船場に向かう道沿いの角に建つ。明治初期に建てられた商家で濃尾地震の被害を免れた。
住所 〒494-0006 愛知県一宮市起堤町33-1 -
起渡船場跡~定渡船場跡、常夜燈、宮河戸跡、船橋河戸跡
起宿には3か所の渡し場があった。(1)金刀比羅社前の定渡船場の他に、(2)宮河戸と、(3)船橋河戸に渡し口があった。常夜燈は定渡船場跡にあり、灯台の代わりになった。
住所 (1)金刀比羅社前の定渡船場:〒494-0006 愛知県一宮市起字堤町38
(2)宮河戸:〒494-0006 愛知県一宮市起字堤町138
(3)船橋河戸渡し口:〒494-0006 愛知県一宮市起字下町180 -
びさいまつり(10月第4日曜・前日)
十二単衣を着た織姫、童女が登場する織姫パレードや踊る仮装パレードが町を盛り上げる。
住所 〒494-0008 愛知県一宮市東五城備前12 -
紅葉のおもてなし(11月下旬)
一宮市尾西歴史民俗資料館別館・旧林家住宅を会場に、庭園の紅葉の中で茶会や演奏会を開催。
住所 〒494-0006 愛知県一宮市起下町211