稲武

いなぶ

足助の町を過ぎ、信州へと向かう街道は難所が続く。中馬(*)や善光寺参り、伊勢詣での旅人らが利用した伊勢神峠を超えると六部峠や水別峠が続き、やがて武節の町中へ入る。
武節の町は、東西を貫く伊那街道(明治以降は飯田街道)、南へ向かう名倉通(新城へ至る道で秋葉神社への参拝道でもあった)、北に延びる美濃街道の分岐点にあり、物資の運搬や参拝者で賑わった。街道は名倉川を渡り稲橋の町に入る。その後地蔵峠や難所の杣路峠と続き、信州・根羽に至った。

*【ちゅうま】馬や牛の背に物資を載せて運んだ運送業の人々。またはその馬や牛のこと。
*稲武は昭和15年(1940)武節村と稲橋村が合併して成立した町。二村の名を一字ずつ組み合わせ町名とした。平成17年(2005)豊田市に編入されたが、広域地名「稲武地区」として存続している。

見どころ

  • 尹良親王腰掛け石

    南朝方の皇子・尹良親王の史跡のひとつ。親王の伝説は奥三河から南信州にかけ点在する。

    住所 〒441-2523 愛知県豊田市御所貝津町二貫目38-2
  • 大和屋

    武節の町で材木商の傍ら塩問屋を営んでいた大和屋の建物。

  • 戦国時代から現存する道

    戦国時代から残る古道。名倉川を渡る手前に関所が設けられていた。

    住所 〒441-2522 愛知県豊田市武節町屋敷155
  • 瑞龍寺

    推定400年弱といわれる枝垂れ桜の名所。

    住所 〒441-2513 愛知県豊田市稲武町寺山3
  • 寛政9年の道標

    国道153号線と257号線の交差点に立ち、鳳来寺道と善光寺道(飯田街道)を示す。

  • 大井平公園

    古橋家(江戸中期以来稲橋で酒造家、名主を務めた)が造成した公園で城ヶ山の登山口のひとつ。

    住所 〒441-2513 愛知県豊田市稲武町大井平5-1
  • 武節城址

    長篠の戦いに敗れた武田勝頼を梅酢湯でもてなした言い伝えがある。

    住所 〒441-2522 愛知県豊田市武節町シロ山194
  • 道の駅どんぐりの里いなぶ

    稲武地区の物産品を販売する。温泉施設や体験施設も隣接する。

    住所 〒441-2522 愛知県豊田市武節町針原22−1