藤川宿は江戸日本橋から数えて37番目の宿場町。
東隣の赤坂宿や西隣の岡崎宿に比べると小さな宿だった。藤川宿の名物はむらさき麦(*)と藤の花で、その美しさが歌に詠まれた。松尾芭蕉の「爰(ここ)も三河 むらさき麦のかきつばた」が知られる。
脇本陣門、本陣跡石垣など江戸期の遺構と古い町屋が点在し、町の東西には歌川広重の浮世絵に描かれた棒鼻が復元されている。松並木や街道の先に山の姿が見える”山当て”(*)の道筋、里山など景観も美しい。平成8年(1996)には愛知県内で唯一「歴史国道」の選定を受けている。
*むらさき麦は、昭和半ばに姿を消したが、平成6年(1994)に栽培に成功。今では5月中旬に美しく色づく。
*周辺の山を向けて道路や街路を配置する設計方法。