池鯉鮒(*)宿は江戸日本橋から数えて39番目の宿場町。
かきつばたの名勝八橋と、にぎやかな市場で知られた。江戸時代、池鯉鮒は三河木綿の集積地となり木綿市が活況を博した。松尾芭蕉も「不断たつ池鯉鮒の宿の木綿市」の句を残している。さらにその木綿を運ぶ馬も取引されるようになり、松並木の周辺で開かれた馬市には、甲斐(山梨県)や信濃(長野県)の荒馬が集まり、商人や見物客でごった返した。
その盛大さは歌川広重の浮世絵にも描かれた。宿場町の景観は失われたが、東海道三社の一つに数えられた知立神社や松並木が今なお残る。
*読みは「ちりゅう」ともいう